jomanwomanのブログ

精一杯だらだら

ジョゼくん、名作映画を観る。 その1『フォレスト・ガンプ』

 

最近、ほんのりヤバいんじゃないかと思いはじめたことがある。
自分は、一切「名作」と言われる映画を観たことがないことだ。

 

そんな〜俺だって「ゴジラ」とか「ローマの休日」とか観たことないし大丈夫だよ〜

 

気の利く人はそうフォローをしてくれるだろうが、自分の場合はちょっと次元が違う。

 

去年見た映画はリアルに『ゼラオラ』だけだし(ケモナーきっしょ)、今までの人生を振り返っても映画館に行った記憶はこれまた片手で数える程しかない。うん、今数えてみたが薬指までしか使わなかった。(ちなみに観に行ってた映画は『デオキシス』と『清洲会議』と『君の名は。』だ。謎メンツ)

 

ハリー・ポッター』は最初の方でオークみたいな魔物の鼻に魔法の杖かなんかが突き刺さったのを抜いたら→鼻汁がネチャァ……ってシーンが当時4歳のそぬ少年には刺激が強すぎて切ったし、信じられないことに『スター・ウォーズ』は本当に一切観ていない。フォースって何? ハンソロって誰? 脳内は最早エミネム状態。ヨーダジェダイでダースがファーザー。

 

さすがにアカンのではないか。
もし会社に入って上司にいきなり『ショーシャンクの空に』の話題を振られたりしたら……『男はつらいよ』の好きなエピソードを訊かれたりしたら……間違いなく硬直する。
「あの新人は、普段本ばっか読んでるけど、それ以外のカルチャーを一切摂取してないから知識が平面的すぎる、典型的なエセ教養人だね、文学部卒にありがちダナ。。。」
と、ジャッジされること必至である。それはあまりにもしんどい!!

 

 

というわけで、僕は普段はアニメ・海外ドラマ観賞用にしか使っていないNetflixを起動したのであった……

 

名前だけしか知らない映画、名作だと謳われる映画、全部この目で観てやるぞ!!!!!!

 

 

 


フォレスト・ガンプ/一期一会』感想

  

正直、死ぬほど食指が動かなかった作品だ。

 

ストーリーラインはほんとーーーーーにおぼろげながら存じていて、
「ちょっと頭の弱いお兄さん、フォレスト・ガンプが女の子と恋に落ちて自分の世界を取り戻して……」的なやつっしょ? 知ってる知ってる、なんjで見た! うーん、自分はこういうのあんま好きくないんだよなあ……男女の絡み見てそんな楽しい? そんくらいで世の中の人ってムズキュンしちゃうの? ストーリーもあんま動かないやろうし、自分には合わないやろうけどまあ観てやるか……

 


……

 

 

……

 


ガンプウウウウウウウウウウウウウウウウウウ😭

 

 

え、純粋に「いい話」に合うも合わんも無いんだね!!
いままでこういう映画のことを誤解してたかもしれない。第一回目にして聖サウロ並みの大回心を演じることになるとは思わなかった……ほんっっっっっっとうに良い作品でした。

 

ストーリーをざっと一言でいうと、「ガンプお兄さんの半生」。

 

映画の冒頭は、こう。
バス停のベンチに腰を下ろして、チョコを汚く貪りながら「人生はチョコレートの箱、開けてみるまで中身は何かわからない」とのたまい、隣に座った人に自身の半生を語りかけるガンプお兄さん。
この時点で「なんかネタにしたらヤバそうな奴」感が漂っているが、それもそのはず、彼は小学校入学時点でIQが85しかないのだった。だけどここで彼のことを「発達的なアレ」と切り捨てないでほしい。最後まで彼の話を聴き終えた時、きっと誰もがガンプお兄さんのことを大好きになっているはずだ。

 

パッケージでフィーチャーされてるのはちょうどこの「お兄さん」形態なので、僕はずっとハンディキャップのある大人が恋愛を知って、大人になって……要するに「アルジャーノンに花束を」的なビターラブストーリーだと勘違いしていたけど、とんでもない。

 

ガンプ坊や時代から大学生ガンプ、兵隊ガンプ、ビックリ卓球プレイヤーガンプ(!?)を通して、今現在のガンプお兄さんへと至る過程が描かれる大河巨編だったのだ。人生ってすごい。

 

ところで、よく「ここには、人生の全てが詰まっている」なんて謳い文句を書評で見かける。
だけどこのフレーズには裏切られた記憶しかない。たとえば、『カラマーゾフの兄弟』。上中下で計1,800頁を超える一大スペクタクル巨編だが、「人生の全て」は詰まっていなかった。全尺の9/10程が醜い男と女の争いに費やされていて、それ以外の要素は……ほぼキリスト教のウンチクで(もちろん『カラマーゾフ』は大好きな作品だよ)、書評家の人生観を疑った思い出がある。

 

だけど『フォレスト・ガンプ』で描かれているのはまさしく「人生の全て」。
母の愛があり、イジメがあり、思わぬ才能の発見があり、なろう小説並みのミラクル、大学生活、徴兵、恋愛、死、神様との対話が荒波のように襲いかかってくる。

 

ちょっと他人とズレてるけど、
それゆえに誰からも愛されるフォレスト・ガンプお兄さん。
その圧巻の人生を、まだ見てない人にぜひ知ってほしいなと思った。